家を破損して数十万円請求…「悪徳リフォーム業者」にダマされないためには、何を注意すべきか
2024年7月に福島県南相馬市で、住宅リフォーム代をだまし取ろうとする詐欺未遂事件があった。その手口は、いきなり訪問してきて屋根の修理が必要だと言い、本来なら必要ない作業を行って高額請求するというもの。
この事件は広く報道されたが、こうした詐欺は氷山の一角。リフォームにからんだ悪徳商法は、増加傾向にあるそうだ。それに引っかかって前よりも状態が悪くなった家のリフォームを請け負うことも、少なくないとか。
はたして悪徳業者の手口とはどんなものなのか。騙されないためにはどう注意すればいいのか。
◆故意に破損して高い工事費をふっかける
――福島県の事件のような、「屋根の修理をします」と持ちかける手口は、よくあるのでしょうか?
本当に多いです。屋根工事の点検商法と言いまして、国民生活センターの発表だと、寄せられる相談件数は2013年だと798件であったのが、2023年は2944件と右肩上がりに増えています。
典型的なパターンとしては、「近くで工事している工務店の者ですが」と訪問してきます。そして、「たまたま気づいたのですが、お宅の屋根に問題があり、放置すると雨漏りで大変なことになります」と言ってきます。そして、「ちょっと屋根に上がらせて、点検してもいいですか」と、たたみかけてきます。
それで屋根に上がった際に、一部を故意に破損して既成事実化させたりします。あとは相場よりずっと高い金額をふっかけ、ずさんな施工をします。お客さんは、その方面の知識はないし、不安に駆られているしで、怪しいと思わないのです。なので、国民生活センターに相談してくる人の何倍も被害はあると思います。屋根の点検だけでなく、外壁のリフォームも悪徳業者が多いので注意が必要です。
◆応急処置で数十万円を請求する事例も
――地震や台風の被害にあった地域を回遊する悪徳業者もいると聞きましたが。
被災地は、一気に多くの住宅が大なり小なり補修を必要とするので、地元業者のキャパを超えてしまいます。施工は数か月~数年も待つことがあり、とりあえずブルーシートを屋根にかぶせている家を見たこともあるかもしれません。悪徳業者はそこにつけこみます。
「うちならすぐできますよ」と言ってきて、高額で手抜き工事を行ったりするのです。応急処置に過ぎないブルーシートをかぶせるだけで、何十万円もぼったくったりします。お客様が「お金が足りない」と言うと、「家財保険でまかなえます」などと切り返してくることもあります。この場合、屋根や外壁をさらに壊して申請が通る様に仕立てる業者がありますが、これだと保険金詐欺になります。お客様もそれを半ば承知して依頼したら、同罪になってしまいます。なので、「費用は保険金で……」と言ってくるところは要注意です。
こうした業者の被害に合わないコツは、ひとえに訪問営業を相手にしないことです。「今なならお得なモニター価格で提供」などと魅力的なトークを繰り広げてきますから、「口のうまさについ……」とならないためにも、最初からとりあわないようにしましょう。
◆グレーな業者が潜む一括見積もりサイト
――地域や条件など入力すると、該当する複数の業者から見積書が送られてくるリフォームの一括見積もりサイトがあって便利そうです。これなら問題はないですか?
サイトにもよるのですが、加盟するリフォーム業者への審査が甘く、工事現場をチェックする所は少ないです。悪徳といわないまでもグレーな業者が混じっていることがあります。もちろん、素晴らしい業者とマッチングができる可能性もあるでしょうけれど、グレーな業者にあたったら悲劇です。
あと、一括見積もりサイトの中には、リフォーム会社が運営会社に支払う成約手数料が高すぎるところがあります。高いところで20%くらいのところもあるようですが、業界の粗利率を考えると、ほぼ利益は残りません。結局、その金額もリフォーム代金に上乗せされる可能性があり、お客様が通常より割高な額を払ってしまったり、工事品質そのものを落とされたりします。
◆ネットの口コミはサクラの可能性も
――では、適切なリフォーム会社はどのように見つけるのが正解でしょうか?
手間はかかりますが、ご自身が能動的に探すのが確実です。公式サイトや雑誌をよく見て、お住まいの地域のリフォーム会社を10社ピックアップして問合せする業者は3社に絞ります。
公式サイトについては、会社概要のページの企業理念も見てください。「自分たちだけがハッピーになるんだ」みたいな理念では、いい仕事は期待できません。企業理念は、抽象的な言葉も多いですが、意外と重要なポイントです。それから、過去の施工実績の写真と価格まで載っていれば信頼性が高いです。
広告を出しているかどうかもひとつのポイントですが、Googleマップに付随する口コミを信じ込むのもよくありません。特に、知名度のわりに、高評価の件数が不自然なほど多い会社。サクラを雇って代理投稿している可能性があるからです。もちろん、悪評だらけの会社も避けましょう。
そうして10社を選んで、さらに細かく検討して3社に絞ります。この段階で、その3社に電話やメール等で相談し、無料で見積りしてもらいます。
◆発注を受けてから金額を吊り上げる業者も
――そこまできたらあとは、見積もり額が安いところに決めてOKなのでしょうか?
見積もりも落とし穴が多いので注意しましょう。まず、概算の見積もりで金額の比較はしないでください。よくない会社だと、概算は他社より安く見積もって、いざ発注してから「追加の工事が発生しました」と、どんどん請求額がかさんでいくパターンとなります。
そうした実質、二重価格を出すようなところは、大手にも多く、特別な理由がない限りは、現地を見てもらってから見積りを取り、比較してください。地域密着型をうたう小さめな会社もいいかといえば、必要な工事が抜けている見積りを平然と出したりするところもあります。
部位ごと、部屋ごとの細かい項目が見積書に反映されているかを、よく見ましょう。ただ、まともなリフォーム会社でも、イレギュラーな追加工事の発生はありえます。一番安いところに即決するのではなく、どんな家にしたいのかきちんと考え、余裕をもってスタートするのが良いと思います。
※インターネットの記事からの抜粋です。皆さまで共有しましょう!